実践!管理会計
 

問題解答「損益分岐点の算式の応用で自由自在」

基本はやはり費用分解です。変動費と固定費をしっかり区分してください。

●変動費は材料費と外注費でしたね。合計で151,940千円になります。

●固定費は労務費、製造経費、販売管理費、営業外費用−営業外収益です。

 合計で219,590千円になります。

●上記より変動費率は151,940千円/395,000千円=38.5%となりますので、限界利益率は1−38.5%=61.5%となります。

 これで、変動費及び固定費ならびに限界利益率が把握できました。

 それでは、一題ずつ解説していきます。

(1)経常利益率の目標を10%とすると、必要売上高はいくらか。

●経常利益の目標が率で与えられている場合には、変動費率が目標利益率だけ増えた(限界利益率が減った)ときの損益分岐点売上高、を考えます。その損益分岐点売上高が達成できて、変動費率(限界利益率)が変わらなければ、目標利益率に相当する利益が残るというわけです。

  損益分岐点売上高=固定費/限界利益率
  必要売上高=固定費/(限界利益率−目標利益率10%)

●よって上記算式より、

  219,590千円/(61.5%−10%)=426,388千円となります。

●検証してみましょう。

  売上高426,388千円×61.5%−219,590千円=42,638千円
  経常利益42,638千円/売上高426,388千円=10%

●以上から、目標利益率を達成するための必要売上高は
  必要売上高=固定費/(限界利益率−目標利益率)で求められます。

(2)経常利益額の目標を30,000千円とすると、必要売上高はいくらか。

●こちらは経常利益率ではなく、経常利益額を残すための必要売上高を求める問題です。こちらの方が、皆さんにはおなじみですね。

●考え方は、固定費が、目標利益額だけ増えたときの損益分岐点売上高です。

  必要売上高=(固定費+目標利益額30,000千円)/限界利益率
   (219,590千円+30,000千円)/61.5%
   =405,837千円  

●こちらも検証してみましょう。  

  405,837千円×61.5%−219,590千円=30,000千円

●以上から、目標利益額を達成するための必要売上高は

  必要売上高=(固定費+目標利益)/限界利益率で求められます。

(3)翌期に借入金を28,000千円返済しなければならないとすると、必要売上高はいくらか。(法人税の実効税率を30%とする)

●実効税率とは、税引前当期利益(≒経常利益)を100%とした場合の法人税の割合をいいます。またこの場合、税引後の当期利益は1−30%の70%となります。

●この問題は、借入金の返済原資が利益であること、また経常利益から法人税を差し引いた、いわゆる税引後の当期利益がその返済原資となること、が理解出来たかどうかです。

税引後の当期利益が28,000千円で、実効税率が30%とすると、経常利益は28,000千円/(1-30%)=40,000千円必要になります。

●ここまで出来れば、あとは(2)の算式に代入して、

  (219,590千円+40,000千円)/61.5%
   =422,098千円 

(4)売価を3%下げても、当期並みの経常利益を確保するためには、売上高ははいくら必要か。

●売価が3%下がるということは、限界利益率が下がります。では、そのまま3%下がるのでしょうか。

少し違います。考え方は、売上100に対して38.5の変動費がかかっていたのが、売価を下げることにより、売上97に対して38.5の変動費がかかることになります。

売上高が395,000千円×97%=383,150千円になり、変動費は変わりませんから、

  限界利益率=1−151,940千円/383,150千円=60.3%

●ここまで出来れば、あとは簡単です。

  必要売上高=(固定費+目標利益)/限界利益率の算式を用いて、

  必要売上高=(219,590千円+23,470千円)/60.3%

●正解は403,085千円になります。また以下の算式から、売価を3%下げると、販売数量を5.2%多くしなければならないことも確認してください。

 403,085千円/383,150千円=105.2% 

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