実践!管理会計
 

限界利益率計画

●変動損益計算/損益分岐点編を思い出してください。限界利益は売上高から変動費を差引いて求めましたね。また限界利益から固定費を差引くと経常利益が求められました。つまり目標利益と固定費計画が策定できれば、目標限界利益は計算することが出来ます。

売上高−変動費=限界利益

限界利益−固定費=経常利益

ゆえに 目標利益+固定費予算=目標限界利益

●これで目標限界利益も計算できたので、今回は終わりだ、とはいきません。限界利益率を計画しなくては意味がありません。限界利益率計画は、当期の商品別、市場別の限界利益率実績の検討から始めます。

限界利益率に限らず、商品別または商品別が難しければ商品分類別や、市場別すなわち販路別の当期実績数値を把握することは、非常に大切です。 

さまざまな商品や販路のうち、どの商品やどの販路の限界利益率が高いのか、またどの商品やどの販路の売上高の伸び率が高いのかなど、商品分析や市場分析に有用なデータを提供してくれます。これが限界利益率計画や売上計画の切り口になります。

これは景気の低迷という理由で、業界全体が冷え込んでいるときに、ある企業だけが売上高や利益を伸ばしている場合、個々の会社について言えば、会社全体の売上高が前年割れだか、ある商品だけまたはある販路だけが売上高を伸ばしている場合に、なぜその商品または販路だけが、という切り口を提供してくれます。

●すいません。少し脱線してしまいました。話を限界利益率に戻します。商品別の限界利益率を把握したら、翌期の販売計画や重点販売商品により、構成比を検討します。例えば以下のような商品構成の会社が、 

 A商品 売上高 450 限界利益率20% 利益 90
 B商品 売上高 300 限界利益率25% 利益 75
 C商品 売上高 150 限界利益率40% 利益 60
 D商品 売上高 100 限界利益率30% 利益 30
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 合計  売上高1000          利益255

商品構成を、限界利益率の低いA商品を少なくし、限界利益率の高いCD商品を重点販売商品に決定し、構成比を高めた結果、下記の通り、合計の売上高1000は変わりませんが、限界利益率はは商品構成を変える前の25.5%から27.0%に増加しました。

 A商品 売上高 350 限界利益率20% 利益 70
 B商品 売上高 300 限界利益率25% 利益 75
 C商品 売上高 200 限界利益率40% 利益 80
 D商品 売上高 150 限界利益率30% 利益 45
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 合計  売上高1000          利益270

このように翌期の販売計画や重点販売商品を検討することにより、翌期の商品構成比から翌期の限界利益率を予測するといった方法が一般的です。

その際に固定費計画でもお話しましたが、翌期の行動計画と限界利益率予測とがリンクしていることが必要です。つまり行動の結果、限界利益率がこうなったという計画にせねば意味がありません。

●また限界利益額は以下の算式からわかるように、目標利益と固定費の予算額をまかなわなければならないので、限界利益率同様に限界利益の金額もチェックし、予算組みします。

目標利益+固定費予算=目標限界利益

限界利益率を、翌期の商品販売の構成比から求め、その限界利益額が目標利益と固定費の予算額の合計額をまかなえるものであれば、その限界利益率予算は合理的であるといえます。

●これで、経営計画の骨子のうち、変動損益計算でいうところの、目標利益、固定費及び限界利益率が決定しました。最後に残るは、目標売上高ということになります。これは次回にお話します。

 

 
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