実践!管理会計 |
変動損益計算/損益分岐点編>変動損益計算>基礎講座 応用講座 問題演習 解答 |
基本講座「今期の利益はいくらになるの?」前回の変動費と固定費の費用分解から、今回は限界利益や変動損益計算を学習します。聞きなれない言葉ですが、考え方は簡単です。しかも経営の現場でバッチリ応用できますので、ぜひ覚えてください。 ●まずは復習から。変動費とは、売上高や工場の操業度に応じて変動する費用をいい、材料費や外注加工費、商品仕入高、消耗品費が代表です。 ●固定費とは売上高や工場の操業度の変化にかかわらす発生する費用をいい、労務費などの人件費や製造経費、管理費、設備費が代表です。 ●さて今回の本題です。売上高から変動費を差引いた利益のことを限界利益といいます。限界利益から固定費を差引くと経常利益が求められます。このように変動費と固定費を区分した損益計算のことを変動損益計算といいます。管理会計の基本です。 売上高−変動費=限界利益 【 変動損益計算書 】 【 普通の損益計算書 】 ●では変動損益計算書と普通の損益計算書とどこが違うのでしょうか?売上が変動したときの、利益の予想をする場合を考えてみましょう。それでは上記の例を使って、売上高が90になった場合、変動損益計算書と普通の損益計算書の双方で経常利益がいくらになるか考えてみましょう。 ●まずは変動損益計算書です 売上が90になると、変動費は売上により変動しますので、売上比例と考え、90×(40/100)で36になると計算できます。また売上高から変動費を差引いた限界利益は90−36で54、限界利益から固定費を差引いて経常利益を求め、4というのが正解です。 売上高90−売上高90×(変動費40/売上高100)=限界利益54 または 売上高90×(限界利益60/売上高100)−固定費50=経常利益4 ●これを普通の損益計算書で求めると、売上90×売上総利益率30%=27、27から販売管理費20を差引いて7とか売上90×経常利益率10%=9という答になってしまいます。これはなぜかというと、売上原価の中に労務費や製造経費など売上が減っても減らない費用つまり固定費が含まれているためです。 売上高90×(売上総利益30/売上高100)−販売管理費20=7 ●つまり普通の損益計算書では利益予想には役に立たないことがわかります。変動損益計算書こそ業績管理の決め手なのです。 ●ここでのポイントは、変動費は、売上高や操業度に応じて変動するため、率(割合)で捉えることです。限界利益にも同じことがいえます。売上に対する変動費の割合を変動費率といい、売上に対する限界利益 (売上−変動費)の割合を限界利益率といいます。 変動費率=変動費/売上高 ●これに対して、固定費は金額で捉えます。変動費は率で、固定費は額で、これが業績管理のポイントです。次回のお話する損益分岐点分析や利益計画でもよく使われますので、ここでしっかり覚えましょう。
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