実践!管理会計
 

必要売上高

●今回は経営計画のうち必要売上高のお話です。やはり最初は変動損益計算書の復習から始めましょう。

売上高−変動費=限界利益
限界利益−固定費=経常利益

これを経営計画の観点(変動損益計算書の下)から見ると

目標経常利益+固定費予算=必要限界利益
必要限界利益/予想限界利益率=必要売上高

となりますので、計算から必要売上高は求められることになります。

●先週号までに、目標利益を規範利益という考え方から、人件費やその他の固定費を労働分配率や積上げ予算により、さらに限界利益率を商品ミックスの観点から予算化してきました。

ということは変動損益計算の要素のうち、目標経常利益、固定費予算及び予想限界利益率が、すでに計画済みであるということです。つまり上記の算式から、「いったいいくら売ればいいの?」という問いに答えられるのです。

必要売上高=(目標経常利益+固定費予算)/予想限界利益率

●必要売上高から少し話は変わりますが、上記の目標経常利益の計算で、我々が実際によく使用する試算表がありますので、ご紹介しておきます。これは必要資金から必要経常利益を計算するというものです。

例えば

 短期借入金の返済(A)      20,000
 長期借入金の返済(B)      10,000
 設備投資額   (C)      20,000
 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 小計(A+B+C=D)      50,000
 配当      (E)       2,500
 役員賞与    (F)       7,500
 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 小計  (E+F=G)      10,000
 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 必要資金(D+G=H)      60,000
 減価償却費   (I)      25,000
 社内留保額   (J)      37,000
 税引後当期利益(H−I+J=K) 72,000
 法人税実効税率 (L)         40%
 必要経常利益 K÷(1−L)  120,000

●上記のうち、借入金の返済額は、借入額と返済額の差引き純額で計算しますが、皆さんもご存知のように、貸し渋りや貸し剥がしなども考慮して安全サイドで計算してください。

借入金の返済額、設備投資額に配当や役員賞与を合計し、翌期の必要資金を計算します。そしてその必要資金から、資金の流出がない減価償却費を差引き、翌期以降の成長の源泉となる社内留保額を足し、税引後当期利益を計算します。

その税引後当期利益を法人税実効税率40%の逆数60%で割戻してあげれば、当期の必要経常利益が試算できるというものです。

●必要売上高の算定は、あくまで目標利益の達成のため、との意識をもっていただきたいため、再度目標利益のお話をしました。これで経営計画の骨子の利益計画はほぼ固まったことになります。

 

 
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